相続が発生すると、相続人は相続財産を引き継ぐか、それとも相続を放棄するかを選択することができます。
特に、被相続人(亡くなった人)に多額の借金がある場合や、相続財産を引き継ぎたくない場合には、相続放棄を検討することが重要です。
本記事では、相続放棄の基本、メリット・デメリット、手続きの流れについて詳しく解説します。
相続放棄とは?
相続放棄とは、相続人が相続財産を一切受け取らず、相続の権利と義務を放棄する手続きのことです。
相続放棄をすると、プラスの財産(現金・不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金・未払い税金など)もすべて相続しなくなります。
相続放棄のポイント
- 相続財産を一切受け取らない
- 借金や負債の支払い義務もなくなる
- 相続人でなくなるため、遺産分割協議に参加する必要がなくなる
相続放棄が認められる条件
相続放棄をするには、以下の条件を満たす必要があります。
- 相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申請する
- 一度放棄すると撤回できない
- 相続放棄した人は、次の順位の相続人に相続権が移る
根拠法令
- 民法 第915条(相続放棄の期間)
- 民法 第938条(相続放棄の効力)
メリットとデメリット
相続放棄には大きなメリットがありますが、同時にデメリットもあるため、慎重な判断が求められます。
相続放棄のメリット
メリット | 詳細 |
---|---|
借金を相続しなくて済む | 被相続人に負債がある場合、相続放棄をすれば支払い義務がなくなる。 |
相続人同士のトラブルを回避できる | 遺産分割協議に関与せず、争いに巻き込まれない。 |
次の相続人に相続権が移る | 自分が放棄すれば、次順位の相続人(子がいない場合は親や兄弟姉妹)が相続できる。 |
相続放棄のデメリット
デメリット | 詳細 |
---|---|
プラスの財産も相続できない | 預貯金や不動産などの資産もすべて放棄することになる。 |
一度放棄すると撤回できない | 家庭裁判所で手続きが完了すると、取り消しができない。 |
次の相続人に負担が移る | 放棄した場合、次順位の相続人(兄弟姉妹など)が負債を相続する可能性がある。 |
相続放棄が適しているケース
- 被相続人に多額の借金がある
- 不動産などの管理が難しく、相続しても負担が大きい
- 相続人間で揉める可能性が高い場合
相続放棄をするかどうかは、財産の状況や家族の事情を考慮しながら慎重に判断する必要があります。
根拠法令
- 民法 第940条(相続放棄の取消し不可)
手続きの流れ
相続放棄の手続きは、家庭裁判所で申請を行う必要があります。
手続きの流れを把握し、期限内に適切な手続きを行いましょう。
期限(3か月以内)を確認
相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申請しなければなりません。
必要書類を準備
- 相続放棄申述書(家庭裁判所の書式を使用)
- 被相続人の戸籍謄本(死亡記載のあるもの)
- 相続放棄する人の戸籍謄本
- 収入印紙800円
- 郵便切手(裁判所による)
家庭裁判所へ申請
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に書類を提出します。
裁判所からの照会に回答
裁判所から相続放棄の意思確認のための照会書が送られてきます。
これに正しく回答し、記入ミスがないように注意しましょう。
「相続放棄申述受理通知書」を受け取る
審査に問題がなければ、相続放棄が正式に認められ、通知書が送られてきます。
これで、相続放棄の手続きは完了です。
放棄後の対応
- 他の相続人に相続権が移るため、家族に報告する
- 放棄後も相続財産の管理責任が一時的に発生する場合がある
根拠法令
- 民法 第915条(相続放棄の申述)
まとめ
- 相続放棄をすると、相続財産だけでなく、借金や負債の支払い義務もなくなる。
- 相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申請しなければならない。
- メリットとして、借金を相続せずに済み、遺産分割協議に関与しなくてよい点がある。
- デメリットとして、プラスの財産も相続できず、一度放棄すると撤回できない点がある。
- 相続放棄後は、次順位の相続人に相続権が移るため、親族間での相談が必要。
相続放棄をするかどうかは、相続財産の状況を把握し、慎重に判断することが重要です。
判断に迷う場合は、弁護士や司法書士に相談し、適切な対応を進めましょう。