相続税の負担を軽減する方法の一つに生前贈与があります。
生前に財産を贈与することで、相続発生時の財産総額を減らし、相続税の節税につなげることができます。
ただし、生前贈与にはメリットとデメリットがあり、相続税との比較を踏まえて慎重に計画することが重要です。
本記事では、生前贈与のメリット・デメリット、相続税との比較、贈与税の2つの制度(暦年贈与と相続時精算課税制度)、効果的な贈与方法について解説します。
生前贈与のメリット・デメリット
メリット
- 相続財産を減らせる
- 生前に財産を減らすことで、相続時の課税対象額を引き下げ、相続税を軽減できる。
- 贈与のタイミングを調整できる
- 相続と異なり、生前に自由に財産を渡せるため、計画的な資産移転が可能。
- 毎年の基礎控除を活用できる
- 暦年贈与では年間110万円まで非課税となるため、長期間にわたり贈与を行うことで、相続税の対象財産を減らせる。
- 資産の分配をコントロールできる
- 遺産分割トラブルを避けるために、特定の相続人に事前に財産を渡せる。
デメリット
- 贈与税の方が相続税より高い
- 贈与税は相続税に比べて税率が高く、大きな金額を一度に贈与すると、税負担が増える可能性がある。
- 相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される
- 相続開始前3年以内に行われた贈与は、相続財産に含まれるため、相続税の軽減効果が薄れる。
- 長期間計画的に行わないと効果が少ない
- 110万円の基礎控除を活用するには、数十年単位で贈与を続ける必要がある。
根拠法令
- 相続税法 第21条の3(生前贈与加算)
相続税との比較
項目 | 生前贈与 | 相続 |
---|---|---|
税率 | 贈与税の税率が適用(最高55%) | 相続税の税率が適用(最高55%) |
控除 | 年間110万円まで非課税(暦年贈与) | 基礎控除あり(3,000万円+600万円×法定相続人) |
手続き | 毎年申告が必要(基礎控除内なら不要) | 相続発生後に申告 |
財産の管理 | 贈与後は受贈者が管理 | 相続までは被相続人が管理 |
3年以内の贈与 | 相続財産に加算 | なし |
生前贈与を活用する場合は、長期間計画的に贈与を行い、110万円の基礎控除を活用することが効果的です。
根拠法令
- 相続税法 第15条(相続税の基礎控除)
- 相続税法 第21条の3(生前贈与加算)
暦年贈与 vs 相続時精算課税制度
生前贈与には、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」の2つの方法があります。
それぞれの制度の違いを理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
暦年贈与
- 年間110万円まで非課税
- 毎年少額ずつ贈与することで相続財産を減らせる
- 相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算される
相続時精算課税制度
- 60歳以上の親から18歳以上の子への贈与が対象
- 2,500万円まで贈与税が非課税(超過分は20%の贈与税が発生)
- 相続時に、贈与財産が相続財産に加算され、相続税の対象となる
比較項目 | 暦年贈与 | 相続時精算課税制度 |
---|---|---|
非課税枠 | 年110万円まで | 2,500万円まで |
申告義務 | 非課税枠内なら不要 | 贈与時に申告が必要 |
相続税との関係 | 3年以内の贈与は相続財産に加算 | すべて相続財産に加算 |
根拠法令
- 相続税法 第21条の5(相続時精算課税制度)
効果的な贈与方法
生前贈与を効果的に活用するためには、以下の方法を検討すると良いでしょう。
毎年110万円以内で贈与する(暦年贈与)
長期間にわたり少額ずつ贈与することで、贈与税をかけずに相続財産を減らすことができます。
教育資金の一括贈与
1,500万円まで非課税となる教育資金贈与を活用することで、相続財産を減らしながら、子や孫の教育資金を支援できます。
住宅取得資金の贈与
一定の要件を満たせば、子や孫への住宅取得資金の贈与が最大1,000万円まで非課税となります。
贈与契約書を作成
口頭での贈与は税務署に認められない場合があるため、贈与契約書を作成し、証拠を残しておくことが重要です。
根拠法令
- 租税特別措置法 第70条の2(教育資金贈与の特例)
- 租税特別措置法 第70条の3(住宅取得資金贈与の特例)
まとめ
- 生前贈与は、相続発生前に財産を移転することで相続税の課税対象を減らす手法。
- 暦年贈与では年間110万円まで非課税、長期間計画的に行うと節税効果が高い。
- 相続時精算課税制度では、2,500万円まで贈与税が非課税だが、相続時に合算されるため慎重な判断が必要。
- 住宅取得資金や教育資金の贈与特例を活用することで、さらなる節税が可能。
- 贈与の記録を残し、贈与契約書を作成することで税務リスクを回避できる。
相続税の節税対策として、生前贈与を上手に活用することが重要です。
適用する制度をよく理解し、自分に合った方法を選びましょう。