相続税は、相続財産の評価額や税率に基づいて計算されます。
正しい計算方法を理解することで、税負担を最小限に抑えることが可能です。
本記事では、相続財産の評価方法、基礎控除、税率、配偶者控除、遺産分割の影響、小規模宅地等の特例について詳しく解説します。
相続財産の評価方法(不動産・金融資産・事業承継)
相続税の計算は、相続財産の評価額を決めることから始まります。
財産の種類によって評価方法が異なります。
1. 不動産の評価
- 土地:「路線価方式」または「倍率方式」で評価
- 建物:「固定資産税評価額」を基準に算出
2. 金融資産の評価
- 現金・預貯金:そのままの額面
- 株式・投資信託:相続開始前の終値や過去3か月平均価格
3. 事業承継資産の評価
- 非上場株式:純資産価額方式または類似業種比準方式を使用
- 事業用資産:市場価値を基準に評価
根拠法令
- 相続税法 第22条(財産の評価)
相続税の基礎控除の計算方法
基礎控除とは、一定額まで相続税が課税されない仕組みです。
基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:相続人が配偶者と子2人(計3人)の場合
→ 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
が基礎控除額となる。
根拠法令
- 相続税法 第15条(遺産に係る基礎控除)
相続税率と税額の計算方法
相続税は、取得した遺産の額に応じて累進課税が適用されます。
税率表
相続税の税率表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | なし |
1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
計算例
- 課税価格:8,000万円
- 8,000万円 × 30% - 700万円 = 1,700万円(相続税額)
根拠法令
- 相続税法 第16条(相続税率)
配偶者控除の使い方と適用条件
配偶者は特別に優遇されており、一定額まで無税となります。
配偶者控除の条件
- 法定相続人であること
- 相続税の申告をすること
控除額
1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか低い金額まで無税。
計算例
- 相続財産:2億円
- 配偶者の法定相続分:1億円
→ 1億円 < 1億6,000万円 なので全額控除され、相続税ゼロ。
根拠法令
- 相続税法 第19条の2(配偶者控除)
遺産分割による相続税の影響(法定相続分 vs 遺言分割)
相続財産の分割方法によって、相続税の負担が変わることがあります。
法定相続分での分割
民法では、以下の割合が規定されています。
- 配偶者と子 → 配偶者1/2、子1/2
- 配偶者と親 → 配偶者2/3、親1/3
- 配偶者と兄弟姉妹 → 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
遺言による分割
- 遺言により、特定の相続人に財産を多く分けることが可能。
- ただし、他の相続人が遺留分を請求できる。
根拠法令
- 民法 第900条(法定相続分)
- 民法 第1028条(遺留分)
小規模宅地等の特例とは?適用条件と計算例
相続税の負担を軽減するために、「小規模宅地等の特例」があります。
適用条件
- 被相続人が居住していた宅地であること。
- 相続人が相続後も居住し続けること。
減額率
- 居住用宅地(最大330㎡) → 80%減額
- 事業用宅地(最大400㎡) → 80%減額
計算例
- 自宅の評価額:1億円
- 小規模宅地の適用後:1億円 × 20% = 2,000万円
根拠法令
- 相続税法 第69条(小規模宅地の特例)
まとめ
- 相続財産の評価方法は不動産・金融資産・事業承継で異なる
- 基礎控除額は 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 相続税率は累進課税(10%~55%)
- 配偶者控除を活用すれば、1億6,000万円まで無税
- 遺産分割方法によって相続税の負担が変わる
- 小規模宅地の特例を利用すると、大幅な税負担軽減が可能
相続税の計算は複雑ですが、適切な対策を講じることで負担を軽減できます。