相続税を正しく計算するためには、相続財産の評価を適切に行うことが重要です。
財産の種類によって評価方法が異なり、それぞれの基準や計算方法を理解する必要があります。
また、評価額を決めるための資料は、公的な書類や金融機関の情報をもとに取得できます。
本記事では、不動産、株式・投資信託、生命保険、事業承継資産の評価方法について、具体的な資料の取得方法を交えながら分かりやすく解説します。
不動産の評価方法(路線価・固定資産税評価額)
不動産の評価は、国税庁が定める基準に基づいて行われます。
土地の価値を知るためには、国税庁が毎年発表する「路線価」や、市区町村が発行する「固定資産税評価証明書」を確認します。
土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。
路線価方式は、国税庁が公表する「路線価図」をもとに評価する方法で、都市部などの土地で使われます。
路線価は、1㎡あたりの価格として示され、国税庁の「路線価図・評価倍率表」ページで確認できます。
必要な資料と取得先
- 路線価図(国税庁のサイトで確認)
- 土地の登記情報(法務局で取得)
計算式
土地の評価額 = 路線価 × 土地面積(㎡)
例
- 路線価:30万円/㎡
- 土地面積:100㎡
→ 30万円 × 100㎡ = 3,000万円
倍率方式は、路線価が設定されていない地域で使用される方法で、市区町村が発行する「固定資産税評価証明書」に記載される評価額に、国税庁が定める倍率を掛けて算出します。
必要な資料と取得先
- 固定資産税評価証明書(市区町村役場で取得)
- 評価倍率表(国税庁のサイトで確認)
計算式
土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率
例
- 固定資産税評価額:1,000万円
- 評価倍率:1.1倍
→ 1,000万円 × 1.1 = 1,100万円
建物(家屋)の評価は、土地と異なり、「固定資産税評価額」をそのまま評価額とします。
この金額は、市区町村から毎年送付される「固定資産税課税明細書」や、「固定資産税評価証明書」に記載されています。
必要な資料と取得先
- 固定資産税課税明細書(市区町村役場で取得)
根拠法令
- 相続税法 第22条(財産の評価)
株式・投資信託の評価方法
株式や投資信託は、相続開始日の時価を基準に評価します。
そのため、株価の確認には、証券会社の口座情報や、日本取引所グループ(JPX)の公式サイトを活用すると便利です。
上場株式の評価は、相続開始日の価格を基準に、相続開始日の終値、相続開始月の平均株価、相続開始前1か月の平均株価、相続開始前3か月の平均株価のうち最も低い価格を採用します。
必要な資料と取得先
- 証券会社の取引履歴(証券会社のウェブサイトや担当者から入手)
- 日本取引所グループ(JPX)の株価情報
計算式
相続開始日の終値 or 1か月平均株価 or 3か月平均株価 の最も低い価格
非上場株式の評価には、会社の決算書(貸借対照表)のデータを利用します。
必要な資料と取得先
- 会社の決算書(貸借対照表・損益計算書)(会社から取得)
- 類似業種の株価情報(国税庁の「財産評価基準書」)
投資信託は、相続開始日の基準価格をそのまま評価額とします。
必要な資料と取得先
- 証券会社・金融機関の口座情報
- 投資信託会社の公式サイト
根拠法令
- 相続税法施行規則 第21条(株式の評価)
生命保険の評価方法
生命保険金は、相続財産の一部として評価されます。
受け取った保険金の額がそのまま相続財産となりますが、一定額まで非課税枠が設けられています。
生命保険金の金額は、保険会社が発行する「保険金支払通知書」で確認できます。
必要な資料と取得先
- 保険金支払通知書(生命保険会社から取得)
計算式
生命保険金の評価額 = 受け取った保険金の総額
法定相続人が受け取る場合、
非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
必要な資料と取得先
- 戸籍謄本(法定相続人の確認)(市区町村役場で取得)
根拠法令
- 相続税法 第24条(生命保険の評価)
まとめ
- 不動産の評価は、国税庁の「路線価図」や市区町村の「固定資産税評価証明書」を基に計算する。
- 株式の評価は、証券会社の取引履歴や日本取引所グループの情報を活用し、上場株式は時価、非上場株式は会社の決算書を基に算出する。
- 生命保険の評価は、保険会社の「保険金支払通知書」を確認し、法定相続人の数に応じた非課税枠を考慮する。
- 相続財産の評価は、相続税額に大きく影響するため、正しい資料を取得し、適切な方法で計算することが重要。
相続財産の評価は、相続税の申告や節税対策にも関わる重要な手続きです。
適切な評価を行うことで、不要な税負担を避け、円滑な相続手続きを進めることができます。
早めに準備を行い適切な納税を行いましょう。