相続税の申告は、相続開始(被相続人の死亡)から10か月以内に行う必要があります。
申告が必要なケース、申告書の書き方、必要書類、期限を過ぎた場合の対処法、修正申告・更正の請求方法、税務署の調査対策まで、相続税申告の全手続きを詳しく解説します。
相続税の申告書の書き方(実例付き)
相続税申告書は、財産や税額を計算し、申告・納税を行うための書類です。
国税庁のフォーマットを使用し、以下のように記入します。
申告書の主要な記載事項
- 相続人の情報(氏名・住所・続柄)
- 相続財産の一覧(不動産、現金、預貯金、株式など)
- 債務や葬儀費用の控除額
- 各相続人の取得財産と納税額
申告書の書き方(例)
【相続税の申告書第一表】
項目 | 記入例 |
---|---|
被相続人の氏名 | ○○ 太郎 |
相続開始日 | 令和6年4月1日 |
相続財産の合計 | 7,000万円 |
基礎控除額 | 4,800万円(法定相続人3人) |
課税価格 | 2,200万円 |
税額 | 250万円 |
この他に、不動産の評価計算や特例の適用申請など、多くの書類を作成する必要があります。
根拠法令
- 相続税法 第27条(申告義務)
相続税の申告を自分でやる? 税理士に依頼する?
自分で申告する場合
メリット
- 税理士報酬が不要で費用を節約できる
- 財産の状況を自分で詳しく把握できる
デメリット
- 手続きが複雑で時間がかかる
- 申告ミスによる税務調査リスクがある
向いている人
- 財産が少なく、相続税の申告が簡単なケース(基礎控除内)
- 税務の知識があり、書類作成に慣れている人
税理士に依頼する場合
メリット
- 申告ミスが減り、税務調査リスクを低減できる
- 控除や特例を最大限活用できる
デメリット
- 税理士報酬が発生する
向いている人
- 相続財産が多く、複雑な申告が必要なケース
- 不動産や非上場株式を相続する人
根拠法令
- 相続税法 第29条(税理士の代理申告)
相続税の申告で必要な書類一覧
申告には、以下の書類を準備する必要があります。
被相続人に関する書類
- 死亡診断書のコピー
- 戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
- 住民票の除票
相続人に関する書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 住民票
- 相続関係説明図(法務局へ提出用)
財産関係の書類
- 不動産登記事項証明書
- 固定資産税評価証明書
- 預貯金の残高証明書
- 有価証券の明細書
- 生命保険の支払通知書
債務・控除関係の書類
- 借入金の残高証明書
- 葬儀費用の領収書
根拠法令
- 相続税法施行令 第6条(申告書の提出)
申告期限を過ぎた場合の対処法
申告期限(相続開始後10か月以内)を過ぎると、以下のペナルティが発生します。
無申告加算税
- 自主的に申告した場合 → 5%~10%の加算税
- 税務署の指摘後に申告した場合 → 15%~20%の加算税
延滞税
- 納付期限の翌日から年7.3%~14.6%の延滞税が発生
重加算税
- 意図的な申告漏れがあった場合 → 税額の35%~40%の加算税
対処法
- すぐに申告し、税務署に相談する
- 延納・物納を検討する(現金納付が困難な場合)
根拠法令
- 相続税法 第68条(罰則)
相続税の修正申告・更正の請求方法
修正申告
相続税申告後に誤りが発覚した場合、修正申告を行います。
- 申告漏れがあった場合 → 追加納税が必要
- 自主的に修正申告した場合、過少申告加算税が軽減される
更正の請求
- 税額を多く支払いすぎた場合、5年以内に税務署へ更正の請求が可能
- 過大に計算された相続税を取り戻せる
根拠法令
- 相続税法 第31条(修正申告)
- 国税通則法 第23条(更正の請求)
税務署の相続税調査に備えるポイント
税務署は、申告漏れが疑われる場合に相続税の税務調査を実施します。
調査対象になりやすいケース
- 申告財産が不自然に少ない(財産総額に対し申告額が低い)
- 現金や預貯金の流れが不明確
- 生前贈与が多すぎる(過去3年以内の贈与が加算されていない)
調査への備え
- 領収書や通帳を整理し、財産の流れを明確にしておく
- 生前贈与の記録を残しておく(贈与契約書の作成)
- 税理士と相談し、申告内容を正確に把握する
根拠法令
- 国税通則法 第74条(税務調査の実施)
まとめ
- 相続税申告は、相続開始後10か月以内に行う必要がある
- 自分で申告する場合と税理士に依頼する場合のメリット・デメリットを比較することが重要
- 必要書類を事前に準備し、期限を過ぎた場合は速やかに対応する
- 税務調査に備え、適正な申告と記録の保存を徹底する
適切な申告を行い、税務リスクを回避しながら円滑に相続手続きを進めましょう。