相続が発生すると、相続人同士で遺産をどのように分けるかを話し合う必要があります。
これを「遺産分割協議」といい、相続財産をスムーズに分配するために重要な手続きです。
しかし、協議がまとまらないと、財産を自由に使えず、相続トラブルに発展する可能性があります。
本記事では、遺産分割協議の基本、進め方、争いを避ける方法について詳しく解説します。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、相続人が話し合い、相続財産をどのように分けるか決める手続きです。
被相続人(亡くなった人)が遺言を残していない場合や、遺言に記載のない財産がある場合に行われます。
遺産分割協議が必要なケース
- 遺言書がない場合
- 遺言書があっても、すべての財産について記載されていない場合
- 相続人全員が合意して、遺言と異なる分け方をしたい場合
遺産分割の方法
遺産分割には、主に以下の4つの方法があります。
分割方法 | 内容 |
---|---|
現物分割 | 不動産や株式を相続人ごとに分割 |
換価分割 | 財産を売却し、現金化して分割 |
代償分割 | 1人が財産を相続し、他の相続人に代償金を支払う |
共有分割 | 財産を相続人全員で共有する |
どの分割方法を選ぶかは、財産の種類や相続人の希望によって決まります。
根拠法令
- 民法 第907条(遺産分割協議)
進め方と手順
遺産分割協議は、法定相続人全員の合意が必要であり、慎重に進めることが重要です。
以下の手順に沿って進めると、スムーズな分割が可能になります。
相続人の確定
まず、戸籍謄本を取得し、誰が相続人になるのかを確認します。
相続人の範囲は民法で定められており、法定相続人全員が協議に参加する必要があります。
相続財産の確定
被相続人が所有していた財産をリストアップし、相続財産目録を作成します。
財産には、以下のようなものが含まれます。
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金(銀行口座)
- 株式・投資信託
- 生命保険金(みなし相続財産)
- 負債(借金・未払い税金)
各相続人の相続分を決定
相続財産の分け方を決める際、以下の基準を考慮します。
- 法定相続分(民法で定められた相続割合)
- 遺言の内容(遺言がある場合はこれに従う)
- 生前贈与や特別受益(相続人の中に、生前に特別な贈与を受けた者がいる場合は調整が必要)
遺産分割協議書の作成
協議がまとまったら、「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印します。
この協議書は、不動産の名義変更や預貯金の引き出しの際に必要になります。
根拠法令
- 民法 第900条(法定相続分)
- 民法 第903条(特別受益者の調整)
争いを避ける方法
遺産分割協議は、相続人同士の意見が対立すると長期化し、トラブルの原因となります。
以下の対策を講じることで、争いを防ぐことができます。
遺言書を活用する
被相続人が生前に遺言書を作成しておくことで、相続財産の分け方を明確にできます。
特に、公正証書遺言を作成しておくと、法的な効力が強く、トラブルを未然に防ぐことができます。
第三者(専門家)を介入させる
相続人同士で話し合いがまとまらない場合、弁護士・司法書士・税理士などの専門家を介入させると、スムーズな合意が得られることがあります。
できるだけ公平な分割を目指す
法定相続分をベースに、各相続人の事情を考慮した公平な分割を目指すことが重要です。
特定の相続人だけが大きな財産を取得すると、不満が生じる可能性があります。
遺留分の考慮
相続人のうち、配偶者や子などには「遺留分」と呼ばれる最低限の相続権が保証されています。
遺留分を無視した遺産分割を行うと、遺留分侵害額請求が発生する可能性があるため、事前に考慮する必要があります。
根拠法令
- 民法 第1042条(遺留分侵害額請求)
まとめ
- 遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を決める重要な手続き。
- 法定相続分、遺言書、特別受益を考慮しながら公平に分割を進めることが大切。
- 遺産分割協議は「相続人の確定」「相続財産の確定」「協議」「協議書の作成」という手順で進める。
- 争いを防ぐためには、遺言書を活用し、専門家のサポートを受けるのが有効。
- 遺留分を考慮し、公平な分割を目指すことで、後のトラブルを回避できる。
遺産分割協議を円滑に進めることで、家族間の関係を良好に保ちつつ、適切な相続を実現することができます。
事前の準備と慎重な協議を心がけ、スムーズな遺産分割を進めましょう。